5.ホール

キリスト教精神に基づいた自由学園には、生徒が一同に集まり、聖書を読み賛美歌を歌う、礼拝の時間があります。生徒たちはこのラウンジホールで毎朝、礼拝していました。現在は結婚式、コンサート、公開講座などに使っています。

 

玄関からホール入り口付近にかけて、天井が低くおさえられています。この部屋に入った人は自然と、窓付近の広々と明るいエリアへの期待感を持つようになり、天井の高いところへ到ると、空間をより開放的に感じられるようになる、ライトお得意の手法です。

自由学園明日館を象徴する印象的な窓が、降り注ぐ光を紡いでいます。住宅作品で様々のステンドグラスを作ってきたライトですが、簡素さとローコストを求めたこの建物では、桟と羽目板のみによる装飾が採用されました。ライトはフリーハンドによる線を用いず、すべて幾何学的なデザインを貫いています。それはライトにとって最初の建築の師匠である、「フリーハンドの天才」と呼ばれた建築家ルイス・サリバンを超えたいという思いの表れとも言われています。修理工事前には、開閉の使い勝手などの要望から、デザインが変更され、窓全体が上下に分割され、小さい窓として使われていました。文化財修理工事の原則に従い、歴史的経緯が解るよう、窓枠にその「跡」を残した形で、竣工当時のオリジナルデザインに復原しています。

 

ホールの壁画は、1931年(昭和6年)、自由学園の10周年の記念に生徒たちが描いたものです。壁画の右側に当時描いている時の写真があります。題材となっている旧約聖書の出エジプト記の一節、「主は彼らに先だって進み、昼は雲の柱をもって導き、夜は火の柱をもって彼らを照らされた」とい聖句が上の方にヘブライ語で描かれており、それが自由学園の校歌の一節にもなっています。この壁画は後に漆喰で塗りつぶされてしまいます。おそらく戦時中にキリスト教が題材になっていることが危惧されたのではと言われていますが、理由は定かではありません。壁であった年月が長いため、この絵の存在を知っている人は卒業生の中でもあまりいませんでした。保存修理工事の時に出てきたこの壁画を、当時の自由学園の学生たちが美術の先生の指導のもとに修復しました。

ホールと食堂には背中合わせに暖炉が作られています。ライトは暖炉とは暖を取るための手段のみならず、火のあるところに人は集まり、団らんし、安らぎの場を共有するのだ、と考えており、手がけた住宅の多くに、暖炉を作っています。ライトが帝国ホテルでも採用した大谷石は、日本でライトの代名詞的な素材です。そのざっくりとした質感を生かして、堅固に築かれた暖炉は、今回の修理工事でも一切、手を加える必要がありませんでした。 以来木造重要文化財のため館内で火の使用はできず、暖炉を使う機会はありませんでした。しかし近年は消防署の許可をとり、冬の夜間見学デーなどで、良く燃えて暖かい、ライトの愛した暖炉を楽しんでいただく機会を設けています。


  • ホール暖炉
  • 食堂暖炉
  • 明日館 ホール 椅子
  • 改修前ホール窓

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